上画像 土井善男作 白磁六角小鉢 径12cm 高さ5.5cm 3240円
というリクエストをちらちらといただいているのですが、なかなか勉強不足で上手にまとめられないので、先日の、新道工房・土井善男二人展のときに来店くださった土井さんと、話をしてみたときことを少しご紹介してみようか、と思います。
土井さんは京都で修行しているので、器の作りが「京」仕込みなのです。
「見込みはここをこう作らなあかん、って理由は教えられないけれども「そういうものだ」と教わった」
と土井さん。
実は、ぱっと見ただけではわからない、ディテールに独特の器の作りがあるのが京。
「京」の器というのは、茶陶がベースになって、どういう作りが食を盛る器として「美しい」のか、に全てが集約され、口作り、高台の削り方、見込みの作り方、その全てに「器とはこういうもの」であるという「約束事」にのっとって作られているのだとか。
そんな土井さんの、奥様の清水なお子さんは、九谷の師匠の元で修行なさっているので、九谷の作り方をしています。なので、お二人の作品は、ご夫婦らしく似た雰囲気をもちながら、全く違うディテールを持つのであります。
ここが、とっても面白い。ここが「器 にし ひがし」なのであります。
器の作りは、それぞれの作家の個性というのももちろんあるのですが、それとは別のこととして、修行した先がどこの産地かというのが、実は器のディテールにとてもよく現れていたりします。
今は、焼き物の産地に限らず、どこにでも作家は工房を構えていますし、○○焼き、と分類できるものではないのですが、それでもやはり、修行した先の、そこの文化や土地の影響を、強く受けているのであります。
店にある器を並べて、ディテールの似たもの別に並び替えると、日本の焼き物産地の地図ができる。
その作家の出身地ではなくて、その作家の修行した先がどこなのか、が、だいたい判ったりします。
焼き物には長い長い歴史があるので、現代の器であっても、やはりその中には、その歴史が培ってきたものが宿っているのです。
その土地の自然や文化や思想みたいなものが、宿っている。
だからすごーく面白いんです。
ご自宅の器も、そうなっていますよ。
そんなことも、ちょっと、探ってみて楽しんでくださいね。