9月28日(土)から開催する「内田可織展」を前に、東京の代々木上原にある内田さんの工房にお邪魔して、お話を伺ってきました。
大きな窓がある、明るい工房です。内田さんは、ご自身の工房と同時に陶芸教室の運営もなさっています。陶芸教室は、大学を卒業後から、ずっと続けていらしたそうですが、出産などで一旦お休みにはいり、昨年改めてオープンし、現在は120人ほどの生徒さんを抱えるほど人気の教室だそう。
そんな教室と、ご自身の作家活動、そして3人のお子さんのお母さんとして、お忙しい日々を送られている内田さん。
子供の頃から絵を描くのが好きで、まずは、多摩美大の油絵科に入ったのだそうです。そこで志を同じくする沢山の同級生の絵を見たときに、皆んなの絵の上手さに衝撃を受けたとか。そして、ものすごく感動したそうです。「この人たちの絵を見ていたい!」って。そして自分は、かなわない、となり、筆を置いたのだそうです。
その後、陶芸と出会い、大きなオブジェみたいなものを10年ほど作っていたとか。
陶芸を始めたときに、とても新鮮だったのは、「陶芸は(しあげの)最後を、窯が決める」こと。「絵は、その完成を自分が決めなければならない。だから、仕上げ時を間違えたりして、とことんやってしまって、収集がつかない、ということになったりするけれども、陶芸は、最後は窯が決める」。
自分の手を離れて、「ものすごくよくなったり」「ものすごく変になったり」する。そこが面白い。難しいんだけれども、面白い。最後、自分の手を離れて仕上がったものが、手を離れたからこそ、冷静に見ることができる。コントロールの及ばないところを、いかにコントロールするか、というところに、ものすごく惹かれる。
「すごくよくなったり」「すごく変になったり」「面白いんです。」
と話してくださいました。
オブジェではなく、器をつくるようになったのは、やっぱり、使えるものを作りたいと思ったから、だそう。美大だったので、器の師匠というのはいなくて、轆轤や釉薬などの技法はすべて独学。「図書館にいって、大先生の書いたものを借りて読んで、試して、そういうことの繰り返しでやってきた」とおっしゃっていました。
「今は、いい時代なんですよ。なんでもYOUTUBEを見れば学べるから。動画が沢山あるから、学校なんていかなくていい 笑」って。
作っているときに一番楽しいのは、どんなことですか?と尋ねましたら、「着色、色をつけるところです。これは、もう本当に楽しい!」とおっしゃっていました。
内田さんに見せていただいたスケッチブックには、器のスケッチや技法についてのメモ、着色に関することなどが丁寧に記されているのですが、やはり、色付けのところの試行錯誤の楽しそうな様子が伺われて、なるほどなぁ、と思ったのでした。
そんな内田さんの作品。今回も2年前に引き続き耐熱土鍋を中心の個展です。仕上がった土鍋たちを見ると、派手ではないのですけれども、食卓になじみ、お料理を引き立ててくれる、微妙で繊細で絶妙な色味に、目と心が惹きつけられます。そのフォルムも、モダンな食卓にも、素朴な食卓にもなじみ、鍋を囲む人々を笑顔にしてくれる要素が詰まっている、そんな感じがします。
内田さんの土鍋、そして耐熱の器たち、ぜひ、手にしにいらしてください。内田さんの作る、色、質感、そのフォルムを、ご自宅のテーブルで使って、感じていただければと思います。
9月28日(土)「内田可織展」。みなさまのご来店をお待ちしております。
9月28日(土)〜10月4日(金)
内田可織展
秋から冬にかけてのキッチンやテーブルに、
あたたかさと美味しさを運ぶ器が並びます。
ぜひ、お運びください。
会期 2019年9月228日(土)〜10月4日(金)
会期中無休
営業時間 12時~19時 最終日17時まで