「こういう食器は、どうして食洗機にいれてはいけないんですか?」
というご質問をいただきましたので、わかる範囲でお答えしたいと思います。
業務用や量産品の器は、食洗機OKのものが多いのに、土ものや作家ものは「不可」と、よくいわれます。
それは、なぜかというと、業務用の食器や量産品の多くは、粒子の細かい土を使い、高温で焼かれていおり強度が高いため、食洗機にいれてもキズになりなくいのでOKなのです。
一方、作家ものの器や土ものの器は、作りも繊細な物が多く、また粒子の粗めの土を使い、量産品に比べれば若干低い温度で焼かれるため柔らかいので、食洗機にいれるとキズがつきやすいのです。
では、なぜ食洗機にいれて洗うとキズがつきやすいか。
これは、食洗機の洗浄方式が、水を食器に噴射して汚れを落とす、というものだから。
ノズルの小さな穴から器の表面に向けて水圧をかけるので、その水圧によって表面にキズがついていくからです。
「そんなに強い水圧がかかってるいるわけではないのでは?」
そうですね。たとえば、テレビショッピングでおなじみのケルヒャーなどの高圧洗浄機に比べれば、そりゃぁたいした水圧がかかっているわけでは、ありません。
でも、食洗機のノズルの小さな穴から、汚れを落とせる程度には水圧がかかっているので、水が器にぶつかるショックにより、やわらかな器の表面には少しずつ微妙に削られていくのです。
水はパワーがあるのです。
そのため、長い歳月のうちには、かなりのキズがつくことになります。
なので、作家の器や土ものの器のように、繊細さがあったり、柔らかいものは、早く摩耗が進むので、お勧めしない、ということです。
作家ものも土ものも、たまに、だったり、数回程度なら、食洗機にいれて洗ったも問題はありません。(でも金彩や銀彩のようなものはやらないほうがいいですよ。あと、漆器もダメです。陶磁器より、さらに柔らかいので。)
忙しいときなどは利用されている方もいらっしゃいます。
ただ、もし食洗機をご利用になる場合は、目に見えないような細かいクラックがあったりすると、割れることもありますのでご注意くださいね。
また、和食器などの形の複雑なものは、食洗機にいれると安定が悪く、出し入れの際だったり、洗浄中に器どうしがぶつかったりすることで、欠けたりということもありますので、ご注意くださいませ。
便利な道具とも適当に上手くつき合っていくのが、コツです。