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工藝 器 南青山

器にヒビ割れが入ってしまったんですけれども・・・貫入とは

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「このあいだ買ったマグカップを使っていたら、ヒビ割れのようなものが入ってしまったんですけれども・・・」

「器を使っていたら、気づいたら、ちいさなヒビ割れが沢山入ってたんですけれども、これって普通ですか?」

というお問い合わせをたまに頂きます。

ちょっと気になりますよね。

それについて今回は書いてみますね。

 

器の表面にはいる小さなヒビ割れのようなもの。

これは「貫入(かんにゅう)」といいます。

だいたい土ものの器に多くみられるもので、器の表面の釉薬にヒビのことです。

ベースの素地に割れが入ってしまうわけではありませんので、そこから汁がもれたりすることはありませんし、普通にお使いいただいて大丈夫です。

貫入はよくあるもので、不良品ではありませんので、安心してお使いください。

 

さて、貫入。

器が焼き上がった時点で貫入(直接貫入)があるものもありますし、器を使っていくうちに入る貫入(経年貫入)もあります。

なぜ貫入が入るか、というと、温度変化が起こった際に土が膨張し、その際、ベースになっている素地の土と釉薬との収縮率が違うために、表の釉薬側が、より引っ張られるから、ヒビが入るのです。

焼き上がった時点で入っている直接貫入は、貫入が入ることを計算して作られています。

(ちなみに上の画像は、あえて狙って貫入をいれている器です)

 

一方使っていくうちに入る経年貫入は、料理などの温かいものが盛られることで、器が温まり、土の膨張が起こることで入るものです。

土ものは、粘土の粒子が粗く膨張率が高いため、貫入が入りやすい傾向にあります。

が、もちろん、どんな器でも貫入が入るわけではなく、粘土の種類や器の仕上げ(釉薬)によっても違います。

 

「同じ器を買ったのに、こちらは平気なのに、もう一つのほうには貫入がはいっちゃったのは、なぜ?」

同じ粘土、同じ釉薬、同じ窯で同時期に焼かれたものでも、窯の中での焼かれた位置の焼成温度に違いによっても、貫入が入ったり入らなかったりします。

土も炎も、自然が生み出すものなので、全てを人がコントロールすることはできないのです。

そこが焼き物の器の面白いところ。

使い込む楽しみの一つとして、貫入を楽しんでいただければと思います。

 


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