白磁のはなし。
白い器。まず、はじめに手にされる器は白が多いのでは?白い器は、いつの時代も人気のある定番の器です。
白い器は食卓を明るくしますし、清潔感があり、お料理も美味しく見えますものね。
昔、まだ電気のなかった頃、炎の灯りが室内を照らしていた頃、この白い器というのは人々のあこがれでした。
磁器の原料が発見される前までは、粘土に白化粧や、白い釉薬を使って、白い器を作っていました。
それが今の粉引や刷毛目の器。
手間がかかり、白い土も釉薬も少なかった時代、それは貴重なものでした。アジアでも、ヨーロッパでも。
やがて、磁器の原料となる陶石が中国で発見され、世界の焼ものの主流は一気に磁器へと流れます。
磁器というのが、それまでの土ものに比べて、格段に白地が美しいものへと変わっていったからです。
美しいものへの憧れは世界共通。
白い器は、それぞれの土地で、独自の「磁器の白」を生み出していきます。
中国の白、ヨーロッパの白、日本の白。それぞれの土地に、それぞれの白があります。
日本の白磁は、やはり日本ならではの色。独特です。
グレーがかったもの。青みがかったもの。緑がかったもの。黄色がかったもの。真っ白なもの。いろいろ。
白磁というと、量産品では「ほぼ白」で濁りのないものが多いので「真っ白いもの」と思われていますけれども、和食器では、実はそのほうが少ないのです。
白磁のバリエーションは粉引と同様、無限にあります。そして少しニュアンスのある白に、作り手はこだわります。
意外かもしれませんが、使いはじめるとニュアンスるある白のほうが、ちょっとしたお料理もご馳走にみえますし、他の器との相性もよいものです。
和食器の白磁を、ぜひぜひ楽しんでみてくださいね。