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工藝 器 南青山

鉄粉とは

余宮隆 灰釉粉引

そもそも「鉄粉」とはどういうものなのか、というのをご説明しましょう。

 

ズバリ、読んで字のごとく、「鉄」が「粉」のように吹き出している状態。

 

粘土の中や釉薬に含まれる鉄分が、窯の中で焼かれることによって酸化し、それが器の表面に出ている状態が鉄粉です。

 

例えば、量産品や、白に拘る焼き物の場合、土の段階で徹底的に精製などによって鉄分が除去された粘土を使っているので鉄粉はでませんし、でないように作ります。

 

しかし、作家ものの鉄粉がでている器というのは、土、粘土そのものが生み出す、質感、風合いに拘って、あえて鉄粉を出していたりします。

 

本来、土の中にあるあらゆる成分が存在していますから、鉄分ももちろん豊富です。

 

「土そのものを形にしたい」、そういう作り手の思いは、土を自分で選び、自らの手で精製し、その土の可能性を存分に引き出す、という形がとられます。

 

精製も粘土として形成できるぎりぎりだったり、あえて小石は取のぞかずに器を形にしていきます。

 

窯の温度も、焼き物がしっかり焼けるように、土が溶ける、ほんの一歩手前まで、形が崩れるぎりぎりのところまで、高温にしていきます。

 

その高温の状態では、土の中の「ある成分」はガス化し吹き出したり、そのガスは思いがけない美しい色合いを作り出したり、鉄は溶けて流れ出す。

 

鉄粉は、器の表面に、そうして表れるのです。

 

そこまで高温で焼かれる器は、しっかりと焼き締まり、丈夫です。

 

作り手の思いのこもった、使い勝手のよい、それして土が存分に生かされた器。

 

そういう器。

 

土の、地球の恵みが凝縮されたもの。

 

鉄粉とはそういうものです。


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