
9月20日(水)から始まる「古川桜展」の打ち合わせで、8月のお盆時期に古川さんの工房を訪ねました。
古川桜さんは、京都教育大学を卒業後、多治見市陶磁器意匠研究所で学び、卒業後は、お父様の古川章蔵氏に就きながら、活動の幅を広げ2016年に独立。華やかな色絵磁器を得意とする作り手です。
その作風は、古典を模したものではなく、身の回りの自然の姿や、そこに含まれる色を抽象的に表現するもの。テーブルや使い手の心に華やぎをもたらしてくれます。
そんな古川さんの工房は、武芸で名を馳せた柳生一族ゆかりの剣豪の里として知られる柳生にあります。
訪ねた日は、38度にもなる暑い日でした。
奈良駅まで車で迎えにきてくださった古川桜さんと、柳生の美しい里山を走ること数十分。
都会では聞くことのできない日暮の声を聞きつつ、その風景をながめると、そこには古川さんの描くのびやかな自然そのものが広がっていました。古川さんの描いているものは、まさに、この景色そのものなのだなぁ、と感じました。
やはり、人は、その土地からつくられるのです。



ご自宅の一角にある工房を案内していただきました。
ぎっしりと積まれた、出荷を待つ器たち。
古川さんとは10年ちかくのお付き合いになりますが、初期の頃と変わってきたのは、
器に大胆な絵柄と、色使い。
何色かを重ねることで、複雑で繊細な発色をさせることで、深さを出しているとか。
発色の鮮やかさは一見すると、南仏の器のような印象に思えますが、
よく見ると、日本の湿度を感じる鈍い影が潜み、しっとりとした奥行きを感じます。
そして作り出す形も、伝統の形にとらわれず、
古川さんの絵柄が引き立つモダンでやわらかなラインの和テイスト。
和の食材と相性のよい器たちです。
今回は、いくつか、こんなものも欲しいなぁ、とリクエストをさせていただきました。
蓋ものとか、ポットとか。
どんな器ができてくるか楽しみです。

古川さんがいつも座っている轆轤周り。
珍しい作りだなぁ、と思ったのは轆轤の前の壁に換気扇があるところ。
磁器は、削り仕事の際に、大量の粉塵が舞うので、換気扇で外に出すためだそう。
削る時は、人間も防塵マスクが欠かせないとか。




デザインを起こし、型を作る。
轆轤を引いて、素焼きして、染付をいれて、焼いて、上絵をいれて、焼いて。
地味な作業を、楽しそうに、チャーミングにこなす古川さんです。


笑顔が素敵な古川さんとワンコ達。
動物シリーズも、もしかしたらお目見えするかも。
9月20日(土)からの「古川桜展」
どうぞお楽しみに。

Sakura Furukawa solo Exhibition
Sep 20 sat. – 26 fri.
In her studio surrounded by the rich nature of Yagyu, Nara,
Sakura Furukawa creates works that capture the colors and life of the plants and animals around her.
With graceful yet bold brushstrokes, her vessels embody both delicacy and quiet strength,
revealing a modern sensibility that resonates with the landscapes of Yagyu.
We invite you to experience this harmony in her work.
古川桜さんは、奈良・柳生の自然に囲まれた工房で作陶されています。
身近な動植物やそこにある色をすくい取り、
水彩画のように軽やかで、時に大胆な筆致で器に映し出します。
作品は可憐さの中に静かな強さを宿し、柳生の風景や空気をそのまま閉じ込めたようです。
伝統的な色絵の技法をベースにしながら、現代の感覚と響き合う器の世界を、
どうぞご覧ください。
古川桜展(磁)
2025年9月20日(土)〜26日(金)
会期中無休
営業時間 12時~18時
最終日17時まで
