百福 

作家の器の店 南青山

宮岡麻衣子さんより

21日(金)からの「宮岡麻衣子展」に向けて、今回は宮岡さんご自身に、どのように焼き物という仕事と向き合っているのかを語っていただきましたので、ぜひお読みいただければと思います。

宮岡麻衣子

「みなっさーん、隣の人と向かい合いましょーう。
ハーイ、お互いに掌を合わせて、触れるぎりぎりまで近づけて
そのまま同方向に動かしてください。
ちょうど鏡みたいにね。」

小学校の授業では、時々妙なことをさせられたりする。

二、三年生の時だったと思う。

互いに手をかざし合ってスレスレで動かすと、不思議なことが起こった。

掌にパチッと小さな電気刺激を感じたのだ。

私だけでなく、周りも皆、おおっと声を上げていた。

先生のメッセージは、人間は皆、目には見えない繋がりがあり、
共鳴し合っているのだ、というものだった。

今思えば、単なる静電気だと思うが、当時は、
ふーん、そうなのか、とまんまと騙されていた。

けれども、そんな考え方に、何となく心地良さも感じていた。

宮岡麻衣子

器作りは、黙々とろくろに向かって土を形作り、絵付けをし、釉をかけ、
窯に詰め、焼成、という繰り返しで、人と交わることは多くない仕事だ。

仕事ぶりも自分勝手だ。

大きさや手に取った重さなど、使い易さは意識しているが、
他人の好みを反映させることはあまり無い。

憧憬する初期伊万里や、その周辺の時代の古伊万里を写したり、
少し自分なりに作り変えたりしている。

宮岡麻衣子

それでも私の作った器に共感してくれる人がいる。

 

パチッ。電気で繋がった気がする。

 

家庭で料理を盛りつけて食卓に出される。
料理屋で使われることもある。

大切な人に、気持ちよく食事をしてほしい、との思いが、器使いに込められる。

一日のうちの最も幸せを感じる時間が食事の時間だと思う。

食事をする時、心は満たされ開かれる。人と人とをより親密にする。

ただ愛でるのを楽しむ愛好家もいる。器は、友人のように寄り添う存在だ。

自分の作った器を手に取った人の心に、パチッと電気が走ったら、
また新しい繋がりが生まれるかもしれない。

宮岡麻衣子

 

宮岡 麻衣子 Miyaoka Maiko

1974 横浜市生まれ
1998 武蔵野美術大学油絵学科卒業
2003 愛知県窯業高等技術専門学校卒業
2004 東京都青梅市にて花月窯築窯
骨董屋で初期伊万里の味わい深さに惹かれ、その魅力を表現したいと思い、
染付、白磁、瑠璃釉などの器を制作している。

 


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