今週末11月9日(土)~16日(土)に開催する「豊増一雄・余宮隆 二人展」に向けて、作家のご紹介をしています。
本日は余宮隆さん。 熊本県天草に工房を構え、登り窯で地元の原土を使った仕事をしています。 ぎゅっと芯のある器が魅力です。
私は19歳のときから陶芸の修行に入りました。
唐津の隆太窯と天草の丸尾焼の二つの窯元にお世話になりました。
どちらの窯元もとても忙しく、常に注文に追われており、弟子も職人として育てるところでした。
轆轤のスピードがとても速い仕事場、未熟だからと言い訳はできません。
とにかく無駄な動きを削げるだけ削ぎ、早く正確に作ることを体に叩き込まれました。
お陰さまで、体に染みついた仕事で今日まで続けてこられてます。
職人として早く作ることは仕事として求められるもの。
では、仕事として以外にはどんなメリットがあるのでしょうか?
私はこう考えます。
料理が主役で器が脇役、器は料理を引き立てなければなりません。
器が主張することを避けるために、仕事のスピードが必要なのです。
私は、轆轤を挽いてる時はひたすら作業に集中するために無心になっています。
ひとつひとつ手で作っていますが、ひとつひとつに心を籠めているようには思えません。
無心で轆轤を挽き、気が付くと一日が終わり、器が出来ている。こんな感じです。
私の器は、焼きも形も特別な特徴があるわけではありません。
しかし使ってくださる方が「毎日使ってます」とか「どの器にも合います」と言ってくださるのは、いい意味で主張していないからだと思ってます。
「料理を盛ったらいい器ですね」と言われるのが一番嬉しい言葉です。
1972年 熊本県天草生まれ 1991年 中里隆氏に師事 2004年 天草にて朝虹窯を開窯 個展を中心に活動中
「豊増一雄 余宮隆 二人展」2013年11月9日(土) ~16日(土) 12時~18時 会期中無休豊増一雄さんは有田で初期伊万里のもつ風合いを追求した磁器を作り、余宮隆さんは熊本で地元の土を使い土と火が作る表情を追求した陶器を作る。二人とも登窯の仕事。 陶芸の本質に向き合う作り手。濃く深く渋い器、並びます。是非、手にしにいらしてください。