粉引にはいろいろある。
白いのも、グレーっぽいのも、黄色っぽいのもあるし、オレンジっぽいのもある。
ツヤのあるもの、マットなもの、貫入の入ったもの、貫入の少ないもの、鉄粉のあるもの、鉄粉のないもの、土の粗いもの、石はぜのあるもの、土の細かいもの、染みやすいもの、染み難いもの、いろいろ。
使っている土によっても違うし、白化粧の種類や釉薬の種類によっても違う。
作り手によって違う。
その表情も。風合いも。雰囲気も。
作家は、その人自身が作りたい理想にしている粉引があって、それに近づけようと切磋琢磨している。
「ようやく、作りたいと思っていたものに近づいてきました。」
と、この器を作った光藤佐さんはいった。
「どうでしょうか」
このタイプの粉引が、店にはいくつかある。
小皿、大皿、小鉢。
渋い器をお好きな若い常連さんが「いいですねぇぇぇぇ!」といって買ってくださる。
「こういうの好きです」。
すごく渋い粉引なのだ。盛られた料理をどーんと受け止めてくれる力がありそうな。
だけれども、地味で渋い。
だから入ってきたとき、若い方には受けないかも、と思っていた。
でも実際には違った。
若い方に、人気がある。
「こういうの好きです」と。
そんな光藤さんの7寸粉引皿です。
和食器の皿。少し深さがあり、全体的にたわみが少しあります。
汁気のあるものも受け止めてくれますので煮物や煮魚を盛ってもいいし、カレーやパスタにもいい。
白化粧の上にかかった灰釉の淡い黄色に、ところどころグレーが混ざった、複雑な表情を持つ粉引。
きっと使い込むとツヤのある釉薬に入る貫入に色が染みて、いい味わいに育つのではないか、と思います。
渋くカッコいい。
径22.5cm 径5cm 12960円